[目次]
ここは,AVI ファイルとして取り込んだ動画データを加工する段階である。
加工としては,次のようなものがある。
これらの作業が終わったら,ビデオファイルに書き出す。
書き出しまでを一度に行うことができないことが多いし,一度書き出した後,少し直したくなることも多い。そのため,動画編集ソフトでは,「どんな素材にどんな加工を施すか」を記録したファイル(プロジェクトファイルという)を途中で保存するようになっている。
プロジェクトファイルはこのように,単なる設計図ファイルなので,動画データに比べるとサイズが非常に小さい。プロジェクトファイルだけあっても,素材にするファイルをなくしてしまうと,何もできない。素材ファイルは消さないこと!
それでは,以下,私の使っている Ulead VideoStudio 6 SE で編集するときの実際の作業の概略を説明しよう。
なお,Ulead VideoStudio 6 SE は,ハードウェアのおまけ版なので,付属の CD-ROM からインストールしたときは,使えるトランジション効果なども貧弱だ。クロスフェード(オーバーラップ)さえ入っていない。
しかし,Ulead 社のVideoStudio 6 のアップデートプログラム提供サイトで「VideoStudio 6用 機能修正プログラム-2(2002.12.6更新)」をダウンロードしてインストールすれば,トランジションも相当増え,十分な機能をもった編集ソフトになる。
また,同じくUlead 社のダウンロード版VideoStudio 6用コンポーネントページからエフェクトコンポーネントをダウンロードして使うこともできる。
ただし,こちらのエフェクトコンポーネントには,やはりクロスフェードが入っていなかったので,上記の「機能修正プログラム-2」のほうがより新しいのかもしれない。
Ulead 社のホームページからはリンクが消えてしまったようだけれど,VideoStudio 6 についてのサイトの入り口は,以下の URL にある。
・http://www.ulead.co.jp/vs6/runme.htm
ここでトリミングというのは,写真のトリミングと違って,画像の上や下をカットすることではない。映像のうちのムダな部分を削除することだ。
Ulead VideoStudio 6 SE には,2つの編集モードがある。ストーリーボードモードと,タイムラインモードだ(拡張ストーリーボードモードというのもあるけど,これはとりあえず無視)。
ストーリーボードモードは,下のように,素材とするビデオクリップを,その長さに関係なく1枚の画像で表すモード。動画ファイルを呼び出し,トリミングをしたり,並べ替えたりするには,このモードが適している。。
![]() |
使いたい動画ファイルを呼び出すには,①のボタンをクリックする。
呼び出すと,ストーリーボード(②のところ)に並ぶ。順番はドラッグ・アンド・ドロップで入れ替えられる。
トリミングしたいクリップを②で選択して(選択されているクリップは図のように赤枠で囲まれて表示される),③の部分を操作して,使いたい範囲だけを選択(する。
④の[適用]ボタンを押すと,その範囲指定が確定する。[適用]ボタンを押し忘れて他の素材を編集しようとすると,「オプションパネルで行った変更を適用しますか?」と聞いてくるので,そこで[はい]と答えれば適用される(このメッセージは出ないようにもできるけれど,うっかり忘れがちなので出るようにしておいたほうがいい)。
③の部分で行う操作をもう少し詳しく説明しよう。
③の部分を拡大すると,次のようになる。
![]() |
ラインが2本ある。上がトリムバーだ。ここに表示されている⑤の黄緑色のラインが,その動画ファイルの中でビデオクリップとして使う部分を表している。このラインの両端のボタンを動かせばトリミングの範囲を変えることができる。
トリミング位置を変えるもう一つの方法は,下のバー(プレビューバー)にある⑥のボタンを動かして位置を決めたうえで,⑦の[マークイン][マークアウト]ボタンを押して,開始位置と終了位置を指定するというやり方だ。
ところで,このようにしてトリミングをしても,それによって元の動画ファイルに変更が加えられているわけではない。だから,同じ動画ファイルから何カ所かを利用したいというときは,上の操作を繰り返して,A~A' 部分,B~B' 部分,C~C'部分,というビデオクリップをそれぞれストーリーボード上に作っていけばよい。
一つの動画ファイルの途中をカットしたいというときなどは,そのように操作することになる。
なお,その場合,何度も何度も①のボタンで呼び出すのは面倒だ。ストーリーボードに呼び出したビデオクリップは,⑧の部分(ライブラリ)にドラッグ・アンド・ドロップすると,そこに登録され,そこからストーリーボードにドラッグ・アンド・ドロップですぐに追加できるようになる。
なお,トリミング後のビデオクリップをライブラリに登録した場合,それをストーリーボードにもっていくと,トリミングされた形で追加されるが,元の動画ファイルはそのままだから,トリミング範囲はいくらでも変更可能である。
ビデオクリップをただ並べると,場面が突然切り替わることになる。映っている場所が移動しているときや時間が経過しているときは,急に「ブツッ」と切り替わる感じになってしまい,まずい。
場所や時間が変化していることを表現するために,フェードイン・フェードアウトやクロスフェード(オーバーラップ)などのトランジションを使う。
トランジションを使うときに気をつけるべきことは,トランジションを使うとその分だけ映像の時間は短くなるということ。
つまり,10秒のクリップと10秒のクリップを単純につなげれば20秒だが,その間に1秒のトランジションを入れると,21秒に伸びるのではなく19秒に縮むということを忘れないように。
これは,ちょっと考えればわかることだ。トランジション効果が加えられた部分は前のクリップと後ろのクリップで共有するわけだから,9 + 1(共有)+ 1 = 19 というわけ。
このように,トランジションを加えると映像の時間が変化するので,それ以外の効果(テロップを入れたり,BGM をのせたり)を加えるのは,トランジションを確定させてからのほうがいい。
トランジションの操作は,(1) 最初に一通り入れるのはストーリーボードモードで,(2) 実際にどんなトランジションになるかをブレビューしながら微調整をするのはタイムラインモードで,それぞれ行うのがよいと思う。
![]() |
一通り入れる操作は次のように行う。
①を押してトランジション編集画面にするとライブラリにトランジションの一覧が表示されるので,そこからストーリーボード上のクリップとクリップの間にドラッグ・アンド・ドロップする。
②で,トランジションの時間や移動方向などを設定する。
画面では,クロスフェード(オーバーラップ)を選択したので,設定できるのは時間だけである。初期設定では1秒になっているので,必要に応じ変更する。
時間は,時:分:秒:フレーム数(1~29)で指定する。
トランジションの種類を変更するには,新たなトランジションをドラッグ・アンド・ドロップすればよい。上書きされる。
トランジションを入れるのをやめるには,そのトランジションを選択して[Delete]キーを押す。
一通り入れ終わったら,③の[タイムラインモードに切り替え]ボタンを押して,タイムラインモードにする。
タイムラインモードは,次のような画面である。
時間の経過を表すルーラー領域,ビデオトラック(メイン画面の画像),オーバーレイトラック(サブ画面の画像),テキストトラック(テロップ),ボイストラック,ミュージックトラックが一覧できる。
![]() |
タイムラインモードでは,ルーラー領域に持っていってクリックすると④のような青い逆三角形とラインが現れ,これを右にドラッグすると,プレビューすることができる。
[Shift]を押しながらドラッグすれば,音声も一応聞こえる。
Ulead VideoStudio 6 SE にはプレビューする方法がいくつかあるが,そのうち,インスタントプレビューではトランジションはあまりに簡略に表示されるため実際どのようになるのか想像できない。高画質プレビューはまずレンダリングが行われるため,表示するのに時間がかかる。
トランジションがどのようになるかを見るには,ルーラー領域のドラッグによるプレビューの方法が適切だと思う。
プレビューの結果,必要があればトランジションの設定を変更する。
ただし,ドラッグによるプレビュー中は,②のところにあったトランジションのオプションは消える。だから設定を変更するには,まず変更したいトランジションを表す⑤をクリックして,そのトランジションについてのオプションを再び②に表示させる。
なお,Ulead VideoStudio 6 SE では,トランジションに限らず,なんであれ,タイムラインに配置された各要素をクリック(場合によりダブルクリック)すれば,その要素に応じた編集ステップに切り替わり,またその要素についてのオプションが②の位置に表示される。
Ulead VideoStudio 6 SE では,画面と画面を合成して,子画面を入れる効果(「ピクチャ・イン・ピクチャ」といわれたりする)をつけることもできるらしい。
バラエティ番組風のビデオを作るのに役立つだろう。
だけど私はやったことがないので,これについては,パス。
テロップを入れるのは,タイムラインモードで行う。
![]() |
①のボタンをクリックするか,またはその右に伸びているラインをダブルクリックすると,テロップを入れるステップに移動する。
テロップを入れるステップにするには,ステップメニュー(ウィンドウ全体の上の端のバーにあるメニュー)の[テキスト]をクリックしてももちろんよいが,視線とマウスの効率的な移動を考えると,この方法のほうがおすすめ。
②のラインを移動して,テロップが始まる位置を指定する。
このラインが画面上に現れていないときは,ルーラー領域でクリックすれば,現れる。
③のボタンをクリックすると,プレビューウィンドウに,テキスト入力領域が現れる。
![]() |
テキスト入力画面には,④のようなセーフエリアが表示される。この中に収まるように,テロップの文字を入力する。
1回のテロップにはあまりたくさんの文字を入れずに,短いテロップの表示を積み重ねるようにする。
文字のフォントなどは,⑤で指定する。
私の標準的な設定は,文字サイズ:30,行間:60のまま(行を変えるときは2回改行),文字色:白。
文字が表示される時間は,初期設定では3秒である。
必要に応じ変更する。なお,ここでもトランジションのときと同様,カンマの後ろの数字はフレーム数を表している。
文字色が背景に埋もれてしまうような場合には,[輪郭とシャドウ]で縁取りをつける。
[輪郭とシャドウ]のボタンをクリックすると,⑥のダイアログボックスが現れる。
ここで輪郭・シャドウを設定する。
私の標準的な設定は,輪郭はなしで,シャドウとして「押し出しシャドウ」を選択し,X軸 3.0,Y軸 2.0,色はグレー。
設定を終えたら,⑦のボタンを押して適用(追加)する。
テロップが入力されると,⑧が現れる。
テロップについても,トランジションと同じように,ルーラー領域のドラッグによるプレビューの方法が有効。
テロップが表示されるタイミング,消えるタイミングを確かめて,あまり合っていないところがあったら,変更する。⑧の位置を移動したり,伸ばしたり縮めたりすることによって変更できる。
また,何度も使いそうなテロップは,ビデオクリップと同様,ドラッグ・アンド・ドロップでライブラリに登録しておくことができる。
テロップの文字やフォント等をあとから変更するには,変更したいテロップのテキストクリップ(⑧)をクリック(テキスト編集ステップにいないときはダブルクリック)して選択状態にしたうえで,プレビューウィンドウをクリックする。
オープニングタイトルなどには,動く文字などを使いたい。
Ulead VideoStudio 6 SE には,テキストアニメーション機能が用意されているので,これを利用する。
動く文字も,最初にやることはテロップを入れるのと同じ。
ただ,文字の配置やフォント,輪郭・シャドウなどと映像とのバランスについて,テロップの場合より一層の注意が必要かもしれない。
フォントなどを設定し一通り設定し終えたら,上の⑤のタブを[アニメーション]に切り替える。そして「アニメーションを実行」のチェックボックスにチェックをつけると,アニメーションに関する設定ができるようになる。
アニメーションタイプでフライを選ぶと,文字は飛んできたり飛んでいったりという動きをする。どこから飛んでくるか,どこへ飛んでゆくかを,「開始位置」「終了位置」で設定する。
フェードを選ぶと,文字はフェードイン and/or フェードアウトする。
ズームは,ズームインまたはズームアウトの指定である。
どのタイプの場合であっても,動く単位(ユニット)を指定する。
文字を選べば,一文字ずつ動く。
単語を選べば,スペースで区切られた語句が一まとまりになって動く。
行であれば,1行がひとまとまり。
テキストにすれば,文字全部がひとまとまりとなる。
また,フライやフェードには一時休止という項目もある。これは,変化を止めてテキスト全体を本来の位置にしっかり表示する時間をどれくらいの長さにするか,という項目だ。ここで連続を選べば,休止なし,つまり,たとえばフェードインなら,全体が表示されると同時に文字の表示終了,となる。
テキストアニメーションについては,いろいろ設定を変えてみて,それを前述のルーラー領域のドラッグによるプレビューの方法で表示させたうえで,どのようにするのがもっとも良いかを決める,ということになるだろう。
なお,ライブラリで「アニメーション」を選択すると,アニメーションのパターンが表示される。ここからパターンを選んでテキストクリップの上にドラッグ・アンド・ドロップすると,そのパターンがテキストクリップに適用される。そのうえで微調整をするという方法もある。
Ulead VideoStudio 6 では,音声ファイルも,ビデオファイルと同じように扱える。
そして,操作の方法は,テロップやタイトル文字を入れる操作とほぼ同じ。タイムラインモードで,映像とのタイミングをはかりながら追加,変更する。ライブラリが使えることも同じである。
音声を配置するためのトラックとして,ボイストラックとミュージックトラックの2つがあるが,両者には特に違いはないそうだ。
ただ,マイク入力のナレーションは初期設定ではボイストラックに,CD から取り込んだデータはミュージックトラックに配置されるというだけらしい。
私はナレーションを入れたことはないし,CD から音楽を取り込むときも WAV ファイルを作ってそれをビデオファイルと同じ操作で追加していっているので,オーディオファイル特有の操作の経験はほとんどない。
あるとすれば一つだけ。音声を追加したときは通常ビデオクリップの音声を消すか音量を下げるかする。
その場合,ビデオクリップを選択して,オプションパネルの次のような部分で設定をする。
![]() |
ビデオクリップの音量を下げるには①の数値を小さくする。
また②のボタンを押すと,音声をフェードイン/フェードアウトさせられる。
オーディオクリップのほうにも同じオプションがあるので,必要に応じそちらの数値も下げたり,フェードイン/フェードアウトを設定したりする。
なお,どれくらいの時間で音声がフェードイン/フェードアウトするようにするかは,「環境設定」で設定できるが,個別のクリップごとには設定できないので,あまり使えない。
[To Top]プロジェクトファイルが完成したら,その設計に従ったビデオファイルを生成する。 このとき,書き出す形式に注意したい。
![]() |
ステップメニューの[完了]から「ビデオファイルを作成」を選択すると,図のように,保存するビデオファイルの形式の選択肢が表示される。
映像を取り込むときに,書き出すときのことまで考えたテンプレートを設定していれば,ここは,プロジェクトの設定に合わせるでよい。
しかし,そうでなければ,ここでカスタムを選択のうえ,表示されるダイアログボックスで[オプション]をクリックしてビデオ保存オプションを設定しなければならない。
ここでは,MPEGエンコードは動画編集ソフトでやらずに専用ソフトでやることにしているから,書き出す形式は AVI ファイルなのだが,「映像を取り込む >> 取り込んだデータはどんな形式になっているのか」に書いたように,実はひとくちに AVI ファイルといってもその中にはいろいろなものが混在している。
私の使っている TMPGEnc Plus 2.5 は,DV Type-1 コーデックを使った AVI ファイルには正式対応していない。そのため,この形式のファイルをエンコードさせると,なんだか変なファイルが作成される場合がある。ところが,Ulead VideoStudio 6 SE をはじめ,コーデックが特に付属しないソフトでは,初期設定のままだとこの DV Type-1 コーデックで映像を取り込み,最終ファイルも何も指定しなければこの形式で保存してしまう。
そこで,保存後に別のソフトで編集・加工することを予定しているときには,そのソフトに合ったコーデックを使って書き出すことが必要であり,多くの場合,それは DV Type-2 コーデックなのである。
ただし,DV Type-2 のコーデックは,Windows に最初から入っているのかと思ったら,そうでもないらしい。
Windows に最初から入っているコーデックだけでは,フルサイズ(720×480)の DV Type-2 の AVI ファイルを生成することはできない,とどこかで読んだ。
私は,何をしたかったのか忘れたが,何かがやりたくて Software DV Codec "Iris" をインストールしてあったので,問題なく DV Type-2 で書き出せている。
"Iris"は下記サイトからダウンロードできる。
・ Dual Moon
また,DV Type-1 で書き出して,あとから DV Type-2 に変換することもできる。
Type-1 から Type-2 に変換するソフトを使えばよいのだ。たとえば,Canopus DV ファイルコンバータというソフトが下記サイトで無料で手に入る。
・Canopus DV File Converter
![]() |